カラスの被害と対策方法!駆除/退治/撃退/生態/形態/特徴/写真/動画
害鳥と聞いて大半の人が想像するはカラスだと思います。その風貌や鳴き声などからネガティブな印象の強いカラスについて、その形態や生態から被害と対策方法についてまとめてみました。
カラスとは?
カラスとは、日本では一般的にスズメ目カラス科の1グループであるカラス属の中の数種類を指しています。
日本でよく見られるのはハシボソガラスとハシブトガラスの2種類であり、その形態はよく見ると違うものの日常的にはまとめてカラスと呼ばれています。その他には渡り鳥としてワタリガラス(北海道)やミヤマガラス・コクマルガラス(九州地方)が飛来するほか、迷鳥としてニシコクマルガラスやイエガラスが飛来することがあります。
このページでは、主にハシボソガラスとハシブトガラスの2種類についてまとめています。
カラスの生態・形態
ハシボソガラスは成体で全長50cmほどになり、全身を光沢のある黒色の羽に被われています。それに対しハシブトガラスは55cm~60cmほどまで成長し、こちらの方が一回り大きな個体となります。
どちらのカラスも産卵期は4月ころで、2~5個程度の卵を産み約20日程度で雛が産まれます。繁殖は基本的に年1回となるため、他の害獣と比較すると繁殖力はそこまで強くありません。
ハシボソガラスとハシブトガラスの特徴・見分け方
ハシボソガラスとハシブトガラスは特徴としてどういった違いがあるのか、どのような見分け方をするのか、それぞれの違いをまとめてみました。
ハシボソガラス | ハシブトガラス | |
---|---|---|
写真 | ![]() |
![]() |
漢字 | 嘴細烏 | 嘴太烏 |
英名 | Carrion crow | Jungle Crow |
学名 | Corvus corone | Corvus macrorhynchos |
全長 | 50cm | 60cm |
クチバシ | 細くて小さく真っすぐ | 太くて大きく上部が大きく曲がっている |
頭 | クチバシまで滑らかなラインをしている | 頭が出っ張っていてクチバシ部分で段になっている |
鳴き声 | ガー、ガー(濁った鳴き声) | カー、カー(澄んだ鳴き声) |
鳴き方 | 頭と尾を下げてお辞儀するような姿勢 | 頭が前に出てノドが膨らむ |
歩き方 | 交互に足を出して歩く | ピョンピョンと跳ねる |
分布域 | ユーラシア大陸全域 | ユーラシア大陸東部 |
分布域(国内) | 九州より北の日本全域 | 小笠原諸島を除く日本全域 |
棲みか | 河川敷や農耕地など開けた環境 | 元々は森林だが今は都市部まで拡大 |
食べ物 | 雑食だが植物性を好む | 肉食性を好み小動物等も食べるほか、石鹸やロウソク等も食べるほど雑食性が強い |
食べ方 | その場で食べることが多い | 高い場所に運んでから食べることが多い |
ハシボソガラスとハシブトガラスを見分けるポイントは以下の3点です。
- 頭部とクチバシの形
- 歩き方
- 鳴き声
ハシボソガラスとハシブトガラスは頭部とクチバシの形が違う
まずこちらがハシボソガラスの頭部の写真です。
頭からクチバシまで滑らかなラインをしており、クチバシは細く小さい形状となっています。
これに対しハシブトガラスの頭部の写真がこちらです。
頭頂部が出っ張っているほか、クチバシとつながる部分が段になっています。また、クチバシもハシボソガラスに比べて太く、上部は大きく曲がっています。
このように見た目で判断することができます。
ハシボソガラスとハシブトガラスは歩き方が違う
ハシボソガラスとハシブトガラスは歩き方も大きく異なります。
こちらの動画を見て頂くと分かる通り、ハシボソガラスは両足でジャンプすることは少なく、両足を使って上手に歩きます。
これに対しハシブトガラスは両足でのジャンプを多用しピョンピョン跳ねるように移動します。歩くことも多いですが、その割合はハシボソガラスに比べて圧倒的に少ないです。
ハシボソガラスとハシブトガラスは鳴き声が違う
ハシボソガラスとハシブトガラスは鳴き声も大きく異なります。
こちらの動画が分かりやすいですが、ハシボソガラスの方が『ガーガー』という低い声で鳴きます。ハシブトガラスは鳴き声が高く『カーカー』という澄んだ鳴き声をしています。
ハシボソガラスとハシブトガラスの写真
ハシボソガラスの写真
ハシブトガラスの写真
ハシボソガラスとハシブトガラスの動画
ハシボソガラスの動画
ハシブトガラスの動画
カラスの被害
カラスによる被害は主に生活環境被害と農業被害の2種類に分けられます。
カラスによる生活環境被害
カラスによる生活環境被害と言えば都市部のゴミ捨て場を荒らす行為が挙げられます。
カラスは雑食性で、果樹や野菜などの農作物・ネズミなどの小動物・人間が出す生ゴミなど何でも食べます。ものが溢れかえっていたバブル期を境に、自然界よりも人間の出すゴミの方が多くのエサを効率よく得られるために都市部まで生息域を拡大してきました。
カラスは非常に視力がよく、ゴミの中に自分たちのエサになるものがあるかどうかが見えるとのこと。これによりゴミ捨て場を食い散らかし人間を困らせています。
東京都では平成13年からカラス対策のプロジェクトを発足し、行政が率先してカラスの駆除や対策を施しており、結果として大幅な個体数の減少に成功しています。
カラスによる生ゴミ被害と対策に関しては、以下の記事にて詳しく解説しています。
カラスによる農業被害

カラス被害と言えば前述の生ゴミ被害の印象が強いのですが、実は農業被害も影響が大きくその被害額は鳥類の中では1位となる16億5100万円にものぼるとのこと。これは鳥獣で見てもイノシシ・シカに次ぐ3位となる数字です。
その内訳は果樹類と野菜類が大半を占めており、イネ類、マメ類と続きます。ただでさえ手のかかる果樹類は、食べ頃の熟した果実を好むため収穫間際に被害を受けることが多く、農業従事者にとって非常に厄介な問題となっています。
カラス対策
では具体的にどのようにしてカラス対策をするべきなのでしょうか。
ゴミ問題に対するカラス対策は以下のページにまとめています。
カラスの農業被害への対策は、農林水産省をはじめ行政も力を入れている課題です。具体的には農作物の保護とカラスの駆除の2パターンに分かれます。
農作物をカラスから保護する方法としては、防鳥ネットやテグスなどで農地を覆う方法と、カラスの嫌がる音や物で近づけさせない方法があります。
防鳥ネットやテグスなどで農地を覆う方法は、それなりにコストがかかるのに対し完全に防ぐことは難しく、ある程度の被害を受けてしまいます。カラスの嫌がる音や物で近づけさせない方法に関しても、最初は一定の効果が見込めますが、知能の高いカラスは慣れてくるため徐々に効果が薄れてきます。
現状では確実にカラス被害を防ぐ方法というのは確立できておらず、多くの人たちが頭を悩ませている問題です。
カラスの駆除についてですが、鳥獣保護法により勝手に駆除することはできず、狩猟免許の取得や駆除の申請など敷居の高い方法と言えます。
ただ、継続的に駆除を続けていくことでカラスも危険を察知し近づきにくくなると言われています。自分で行うことが難しい場合、猟友会や駆除業者に依頼することで駆除することもできます。
もし大きな被害を受けており早急に対応しなければいけない状況であれば、駆除業者に相談してみるのが最善の方法と言えるでしょう。
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